真のフランチャイズカンパニーとは?

:竹村さん。「マクドナルドのV字回復について、どう思いますか?」の続きです。

竹村:前回は、日本における「マクドナルド」の経緯と、フランチャイズ化までの変遷をお話ししました。原田さんは一気にフランチャイズ展開を進めて利益率を上げ、2~3年間で急激に業績を伸ばしました。ただ、順風満帆に見えた矢先に頓挫します。失敗の原因は鶏肉の偽装問題など、複数の要因が絡んでいましたが、最大の論点はフランチャイズ化に向けられました。僕はフランチャイズということもあり、多くの記事を調べ、自分なりに考えをまとめていました。その中、日経ビジネスの「マクドナルド」下平副社長のインタビュー記事「真のフランチャイズカンパニーとは」に大変納得のいく内容が書かれてあったので、今回はそれをご紹介したいと思います。

まず、下平さんは「藤田商店」の時代、つまり藤田さんがオーナーだった時代に、新卒で「マクドナルド」に入社しました。本社の執行役にもなっていますが、新潟に飛ばされるようなかたちで「マクドナルド」のフランチャイジーの企業に出向し、フランチャイジーの社長を数年間にわたってご経験されてから本社の副社長に就任しました。下平さんは「マクドナルド」の失敗はフランチャイズ化ではなく、原田さんの作り上げた中央集権的な仕組みにあると答えています。フランチャイジー側から見ると、地区本部をなくし、完全なトップダウンにする取り組みはあまり有効ではなかったようです。また、現代の真のフランチャイズになるためには地域密着で権限委譲して行うことが重要とも答えていました。実際に「マクドナルド」のV字回復は、地区本部制の復活がキーになったようです。

竹村:この記事はフランチャイズに関わる方ならば読んで損はありません。メルマガでも取り上げているので、是非お読みください。

「マクドナルド」は現在のフランチャイズの流れに乗った!

:そのような改革があったということですが、「マクドナルド」の何を権限委譲するのでしょうか?

竹村:例えば九州であれば、九州で必ず売らなければならない商品というものがあり、そのようなものを九州の中で全部決めていきます。要するに、地方ごとの販売戦略を取るのです。本部は各地方のノウハウを吸い上げて成長します。これは現在のフランチャイズ業界における大きな流れです。フランチャイズは地域に根ざすもの、その地域に詳しい人間が執り行うほうが効率的です。「マクドナルド」のV字回復はその流れの好例だと思います。

:次回は最近上映された「マクドナルド」の映画、「ファウンダー ハンバーガー帝国の秘密」についてお話しいたします。