岩盤浴の成功を阻んだもう一つの要素とは!
林:竹村さん、「失敗したフランチャイズはないですか?」ということで、岩盤浴のお話でしたが、その続きを教えてください。
竹村:はい。僕が携わったきちんとした本当の岩盤浴が20店舗ぐらいできた時点で、それを真似して、安く初期投資ができるインチキな岩盤浴が多数出てきました。
林:石の値段がそれだけ違えば、初期投資の金額は大きく変わりますね。しかもそういう適当な感じであれば他の部分にもこだわっていないだろうから、初期投資は安く済みそうですね。
竹村:はい、初期投資が5~6倍ほど違う偽物の岩盤浴が一気にできたわけです。「石を並べて汗をかく」というのはそれほど難しいビジネスではありませんよね。フランチャイズの中でも設備産業という分類で、誰にでもできることですから。そのようにして本物を真似て作った安い岩盤浴が全国にバーッとできましたが、そこまでならまだ良かったんです。その時の僕が何を考えていたかというと「やはり最終的には本物が流行るだろう」ということです。やはり両方とも行って比べれば全然違うわけですから。
ところがそこで、保健所が岩盤浴の検査をしたところ大量の雑菌が計測されたという事件が起こりました。それは当たり前な話ですよね。岩盤浴には「浴」という字はついていてもお風呂ではないから、岩盤浴を作る際に保健所のチェックというものは不要だったわけです。そうしたらある雑誌が「岩盤浴というものはこんなに不潔なんだ」という記事を掲載して、それが話題を集めた為に、全国にバーッとできた岩盤浴のほぼ全てが影響を受けました。僕が関わっていた岩盤浴は衛生管理もしっかりとしていましたが、それでも影響を免れませんでした。
林:その高い岩盤浴は綺麗だったんですね。
竹村:はい、勿論です。でもお客さんから見たら違いがわかりませんから、本当に本物の岩盤浴であってもそこで一気に売上が下がってしまいました。僕が得た教訓は、やはり誰でもできる設備産業で一気に作ってしまうと簡単に真似られるということと、一気にブームになっている時というのはマスコミなどから色々な形で攻撃されやすいという、この2点です。
岩盤浴の失敗から得た教訓!
林:最後は正義が勝てば良かったですけどね。
竹村:そういうものではないのですね。僕は2つとも行ってくれたら「こっちが本物だ」とお客さんがわかってくれると思っていましたが、そうはいきませんでした。
林:5万円と80万円の石の差って、本当にあるんですか。
竹村:僕はあると思っていました。実際、その石はすごい石だったと思います。でもやはり入る方からしたらわからないでしょうね。
林:ビジネスが成功するかどうかは色々な条件が関わっていて、難しいですね。
竹村:だからFCとしては設備産業は怖いなということと、大ブームになり過ぎると色々なことが起こるという、この2つが岩盤浴のFCでの教訓ですね。
林:なるほど。関わったFCで失敗したのは岩盤浴で、それは設備への依存や、ブームによって色々と起きたことが原因ということですね。ありがとうございました。