フランチャイズは都会と田舎のどちらでやるべきか?
林:竹村さん、今日の相談は「フランチャイズは都会でやるべき?田舎でやるべき?」という相談なのですが。
竹村:なるほど。これは「田舎の人が都会でやろうとしている」のか「都会の人が田舎でやろうとしている」のか、どちらなのかわかりませんが、パターンとして多いのは、例えば田舎の人から「地方に住んでいるけれども、FCだったらやはり人が多い所でやった方がいいのではないか」という相談はよく受けますね。
竹村:結論としては、今の場合だったら僕は田舎でやった方が成功確率が高いと思います。
林:人口が少ないのに?
竹村:そうです。そもそもフランチャイズとは、どちらかというとそういうものなんです。そうはいってもなかなか信じていただけないと思うので、僕が今まで関わっていた事例でご説明します。これまでも何度かお話ししていますが、タリーズコーヒーというコーヒーFCがありますよね。
林:有名ですね。
タリーズコーヒーのフランチャイズの結果から読み取れることとは!
竹村:タリーズコーヒーで一番儲かったところはどこかというと、実は長野と宮崎なんですよ。逆に一番儲からなかったところは赤坂の全日空ホテルです。これは当たり前の話で、長野や宮崎というところは家賃も人件費も安いですよね。それで同じ400円のコーヒーを出すわけじゃないですか。
林:コーヒーの値段はどこも同じですからね。
竹村:はい。別に赤坂だからといってコーヒーを飲む時間が早いわけではありませんよね。だから結局、同じ商品を同じ価格で出していることを考えると、家賃や人件費などの経費が低い方がいいに決まっているということです。だから地方の方が儲かるんです。でもそう説明すると「地方だったらお客さんが来ないのではないか?」という意見が出ます。
林:確かに、お客さんが少ないのではないですか?
竹村:でも長野や宮崎に出してお客さんが来ないようだったら、そもそもそれはフランチャイズにはならないということです。同じ値段でその場所に出して、長野には長野、宮崎には宮崎でタリーズのようなコーヒーを飲みたい人が必ずいるわけです。本来フランチャイズというものは、そのようなお客さんを集められるというレベルのビジネスモデルになっているはずなんですよ。武田塾だって地方でやっても生徒さんが来るじゃないですか。
林:来ますね。
竹村:「都会と田舎ではどちらが儲かりますか」という質問だとしたら、それは田舎で成功した方が絶対にいいです。メガ・フランチャイジー、マルチ・フランチャイジーという、いくつものFCをやっている会社がありますが、県を絞って色々なFCをやって成功している会社が意外とあるんです。例えば宮崎県でも県内で多数のFCを展開している会社が実際にあります。もっと人が多い福岡などでやるのではなく、このFCなら宮崎でもできると判断したものだけを宮崎県で展開しているんです。これはやはり賢い方法だと思いますね。
林:なるほど。では他に心配な点としては「そんなに高いコーヒーが宮崎で売れるの?」ということがありますが。
商品の付加価値の高さがお客さんを呼び込む!
竹村:それは必ず言われますね。タリーズの時もやはり同じでした。タリーズでは紙コップに入ったコーヒーが400円で、他の喫茶店に行けばコーヒーに卵もトーストもついたモーニングが250円ですから、「そんなの飲む奴いないよ」と言われました。しかしフランチャイズとは、その差をひっくり返すほどの付加価値があるビジネスモデルのはずなんです。こちらの方が格好良いと思ってこちらを飲む人が多いわけですよ。その時の宮崎の人から見たらわからなかったかもしれませんが、実際に出してみてヒットしたんです。だからタリーズというのは当たっているわけですね。
林:宮崎でも売れるのですね。お客さんが少なかったということはないのですか?
竹村:ありません。
林:経費が少なかったからお客さんがパラパラ来ただけで結構儲かった、というようなことではなく、お客さんは普通に来たのですか?
竹村:普通に来ました。それはやはりタリーズコーヒーという商品が付加価値が高かったということはあると思います。でも中には、宮崎で始めてみたら人口が少なくてうまくいかなかったというFCもあると思いますよ。それはそこまでFCの商品力がなかったということです。
林:なるほど。それでは今回の結論としては、フランチャイズは基本的に田舎でやるべきものだということですね。ただ、その土地で通用しないようなものであるなら、フランチャイズの価値としてはないと。
竹村:そうです。
林:だから、通用するものを地方で広めるべきだということですね。よくわかりました。