クラウドだけでは最強とはいえない?
林:鬼頭社長、資格スクエアがインプットにおいてもアウトプットにおいても素晴らしいことはよくわかりました。しかも特許まで取ってしまったのですよね。世の中の司法試験の予備校は、決められた時間に一方的に授業を行い、紙のテキストを参照させるという旧態依然としたものでしたが、授業を全て映像にするだけでもかなり進度が速って大きな進歩になります。その上、僕も見させてもらいましたが、テキストがWordのように書き込めたり、スムーズに質問ができたり、テストの機能や単語機能があったりと、効率的に学習できて、確認もスムーズで、はっきりいってクラウドだけで最強ではないですか。
鬼頭:クラウドだけで最強だって思うじゃないですか。そのクラウドの後に問題演習というのもあるのですが、やはりそこだけでは続かないのではないかと考えたんです。
林:なるほど。そこまで整えてあげても続かない人達を、司法試験に受からせてあげようと思っているんですか?
鬼頭:勿論です。
林:優しいですね。そこまで整えてあげても勉強しないのであれば、それはもう諦めてもらえばいいのではないですか?そんなことはないですか?
鬼頭:そんなことはありません。私は勉強を開始した全ての人に受かってほしいと思っています。元々はオンラインで続けさせるということをコンセプトにやってきたわけですね。ですから先ほど申し上げた質問や単語帳なども皆のものが共有されていて、「他の人がどのような質問をしたか」「他の人がどのような単語帳を作っているか」「同じ問題を解いた人がどのような成績だったのか」などが全て見られるようになっています。それによって刺激を受けて頑張ってもらおうと思っていたのです。しかしやはり人間は弱い生き物なんですよ。だからこそ続けられないわけですよね。
林:そこまで素晴らしいシステムがあって、それだけ配慮してあげても皆サボってしまうんですか?
鬼頭:サボってしまうんです。ここが本質ですね。ピラミッドでいえば、何もしないで続けられる人なんて上位1パーセントから5パーセントぐらいしかいないです。ほとんどの人、9割を超える人は続けられないです。だから今見ている貴方、「続けられないな、俺は」と思っている方、それは大丈夫です、95パーセントのうちに入っていますから。
林:今の予備校がそのような人達から年間一括払いという形で利益を挙げているのはひどい話ですね。
勉強を続けさせるために絶対に必要なものとは?
鬼頭:それをわかっているからそういうビジネスモデルにしてしまっているわけです。私としてはそれはサービスとしての本質ではないと思っています。だからやはり続けさせるサービスが必要なのです。ただ私はこれまでのオンライン学習で、効率的に学習するということに関してはそれこそ特許を取れるほどのレベルで突き詰めてきましたので、それを最大限に活かしつつ続けさせるにはどうするべきかと考えました。そして、それを踏まえて思いついたのが、オンライン専用の資格スクエアとは異なる、対面型の塾「資格スクエア・リアル」です。2016年7月開始で、まだ始めたばかりですが、私が「独学力」と呼んでいる独学する力、続けさせる力を養う塾をスタートしたのです。
林:なるほど。そこまでオンラインにこだわって、多機能にして、特許を取れるほどのレベルだったのに、リアルの塾を作ってしまったのですね。
鬼頭:オンラインをここまで突き詰めた私が、リアルの塾を作ってしまいました。続けさせる為にはやはりリアル、対面が強いです。どのようなモデルか話したくて仕方ないのですが、時間がなくなりました。