「モスバーガー」の歴史とともに寄る年波
林:竹村さん。前回、「モスバーガー」の不調の原因はオーナーの高齢化ということでした。
竹村:いくつかの要因はありますが、オーナーの高齢化が一番の難題です。これは「モスバーガー」の未来に関わる問題でもあります。
林:新規加盟の全盛時代から長い年数がたっているということでしょうか?
竹村:フランチャイズとしては40~50年の月日がたっています。まず前提として、「モスバーガー」は1000店舗以上あるにも関わらず、ほとんどのオーナーが多店舗展開に消極的です。「武田塾」のように5、10、15と出店する方はいません。創業者の櫻田慧さんが脱サラして開業したため、脱サラ向けの構造になっています。僕も櫻田さんの本に感銘を受けた読者の1人ですが、櫻田さんにも多店舗展開で起業家という思想はありません。「モスバーガー」自体に多店舗展開の文化がないということです。
林:では、オーナーさんが店頭に立つのが前提になっているということでしょうか?
竹村:文化としてはその前提から始まっています。
林:店長を雇って多店舗展開しても収益があまり上がらないということでしょうか?
平均年齢は60歳!
竹村:収益は上がりますが、多店舗展開に極めて消極的なのです。5,10,15も出店する方はほんのごく一部に過ぎません。データではほとんどの方が1店舗、多くて2店舗しか経営していません。その上、平均年齢は60歳です。
竹村:あくまで平均なので、若者からご老人までさまざまでしょうが、全体的に事業拡大の意欲が薄いのです。その中で利益が出ていることがさらにフットワークを重くしています。
林:不調でも現状維持に甘んじてしまっているということでしょうか?
危機感のない「モスバーガー」!
竹村:赤字にでもなれば話は別ですが、利益が出ているため危機感がないのです。この現状を受けて前社長の櫻田厚さんはオーナー会で、何となく経営されるのは困ると発破をかけました。これは何となく経営しても利益が出る、安定しているからこその低迷といえます。
林:フランチャイズ本部の社長としては共感できます。
竹村:この高齢化の対応策としては次世代への引き継ぎが挙げられます。次回に続きます。