ベンチャー・リンクのSV部隊を振り返る!

:天童社長、ベンチャー・リンクのSV部隊はどのような感じでしたか。

天童:彼らのベースはやはりコンサルタントなので、アルバイトや社員のモチベーションをしっかり上げて、目標達成するために一緒に走らせるということをさせていました。目標が売上1000万円だとしたら、それに対してアルバイトや社員を巻き込んでいき、例えば「15日の時点で500万円の売上を出さなければならないのに、これだけのギャップがある」という状況であれば、そのギャップに対して「どのようなことをしていけば積み上げで売上が上がるか」ということを筋道を立てて考えて、やるべきことを最後までやらせるということを徹底して行うのです。各フランチャイズの全国大会のようなものがあるのですが、それを一つの軸にして、目標達成のために本当に夜遅くまで、時には朝方まで取り組んだりということをしており、とにかく仕事熱心でした。

:優秀そうな集団ですね。問題を発見して解決へと、一緒に走りながら導くという。

天童:そうですね、並走するというのが基本的なスタンスでした。

ベンチャー・リンクでうまくいかなかったビジネスの具体例とは?

:「こうしなさい、ああしなさい」では皆さん動かないですからね。理論上ではうまくいくはずだった業態がなかなか改善しきれなかったということですが、例えばどのような業態で失敗してしまったのか、差し支えない範囲で具体例を教えていただけますか。

天童:わかりやすい例としては、恐らく一番うまくいかなかったのがリンクカードや、SPCMといわれた販促市場です。

:それは理論上、どのように進めばうまくいくはずのものでしたか。

天童:リンクカードは、それぞれの町のお店の店頭に名刺大のカードを置き、それを持って来店すると割引になるといったようなものです。

:そのようなカードがあれば皆が取ってお店に来てくれそうですが。

天童:10年前ならそうだったかもしれませんが、今は皆さんネットで見ますから、時代に合いませんでした。

:理論上はうまくいくと思っていても、広がらなかったのですね。

天童:そうです。それに、最初の目的としては店頭のカードを見た人が「このカードを持参すれば20パーセントオフになるんだ、それなら行こう」と考える流れを作りたかったのですが、初めからそのお店に行くつもりだった人が、そこにカードが置いてあったから取っていくということが多くなってしまい、結局1年ももちませんでした。

:素晴らしい頭脳集団でも、意外に狙いを外してしまうこともあったのですね。そのリンクカードというのはそこまで高額な商品ではなかったのでしょうか?

天童:詳しく覚えていませんが、1000万円前後です。

:そこまで高額なお金を払ったにもかかわらず流行らずに終わってしまっては、確かに困りますね。作った店舗が儲からなかったという以外に、例えば業態に問題があったという例もありますか?

儲かっているビジネスでも別の地域に行くとうまくいかない場合もある!

天童:はい、売れていた業態でも儲からないということもありました。飲食店でいうと、例えばまいどおおきに食堂さんは、関西では業績が非常に伸びて今でも儲かっているようですが、関東の方ではあまり受けませんでした。

:なるほど。

天童:ある地域では良い結果が出ていても、別の地域に持ってくると受けないということですね。本来、一つの地域で流行っているものであれば、価格や味などを地域に合わせて多少変えたとしても、同じようなものを同じオペレーションで行う限りは異なる地域でも利益がしっかり出るものです。そのような考えで色々なところで行っても、そのビジネス自体がうまくいかないということもありました。

:手がけた商品が次々に当たった時代もあるけれども、やはりどうしてもうまくいかないものもあって、少しずつ調子が悪くなっていったのですね。

天童:はい、それにより会社の中の人間が疲弊してしまったのです。儲かっている事業を一緒にやっている時は疲れも忘れて一所懸命頑張れますが、儲かっていない事業ではそうもいきません。経営自体はその会社自体の責任というものがあっても、事業を紹介して「一緒にやっていきましょう」と盛り上げている側としては、良い結果が出なければこちらの方もテンションが落ちてしまって、そうなってしまうともう次のものは売れないですよね。

それでも、ベンチャー・リンクの社員は皆経営者を目指していましたから、「今月末までにここまで売らなければ不渡りが出るというような状況だったら、頑張って売るだろう?」というような話になれば、やはり無理にでも販売をしなければいけないと考える人達が多かった気がします。

:強引に加盟を勧めてしまったということですか。

天童:やはりそういう人もいました。

:色々ありますね。では次回、ベンチャー・リンクについてもう少し詳しく教えてください。