ノンテリトリーのほうがいいの?

:竹村さん。同じような業態でも、エリアを守るフランチャイズ「サニクリーン」と、エリアを競争させるフランチャイズ「ダスキン」では、後者の「ダスキン」のほうが成功しました。ということは、「東進衛星予備校」にもよい面があるということでしょうか?

竹村:勿論です。ただ、トラブルもたくさんありました。目の前の塾も加盟したとかいう事例もありました。「武田塾」をフランチャイズ化する際にも悩みの種となりました。

「武田塾」はスモールテリトリー制

竹村:ノンテリトリーは林さんの肌に合わなかったようなので、「武田塾」はスモールテリトリー制、つまり先行した方々の周囲を条件つきで保証するようにしました。

テリトリー制にありがちな安易な期待は性善説に立っての話です。それだけではビジネスは成功しません。

市場開拓に適しているのはノンテリトリー

:ノンテリトリーのほうが市場開拓には適しているということですが、どういう意味なのでしょうか?

竹村:例えば、ある一校の「東進衛星予備校」が150人の生徒を獲得したとしても、それが地域の最大数かどうかはわかりません。

:そこの地域にもっとニーズがあるかもしれないということでしょうか?

竹村:新たに開校すれば、100人ぐらい集まる可能性があります。二つの校舎を足すと250人。仮に既存の校舎の生徒数が減少したとしても、全体で200人程度と見積もることができます。「東進」がこれだけ拡大したのは、拡大した分だけ生徒数が増えたからです。至るところで「東進」が映像授業を行ったので、世の中に映像授業が浸透していきました。新しい市場をつくったのです。

:反対に75人ずつだったらそこまでのビジネスモデルだったということ。ただ、「東進衛星予備校」の場合は新規にも100~150人ぐらいの生徒が集まった。

竹村:コンビニもそうです。コンビニも定説を覆し五万店を超えました。新規の店舗をお客さんが利用するからです。「セブンイレブン」も、24時間営業が非常識だった時代には白い目で見られました。ですが、今日ではむしろ常識です。新しい市場をつくるというときには、そういう地道な拡大が必要なのです。

:ノンテリトリーによって競争を促して、市場を開拓していく。ノンテリトリーにも意外とメリットがあるようです。今回は以上となります。